ゆびきり
「たっくんに言わなかったのは…藍ちゃんにきっぱりフラれたから、ちょっと意地悪したのかな。それに…あの日以来話にくかったし。」

そう言うタケの目は、まだ僕にライバル心を持っているのが明らかだった。

「でも付き合ってるって噂流れてたぞ?」

「俺が流したんだよ。あのまま藍ちゃんとたっくんが別れたら、俺に振り向いてくれるんじゃないかって思って…」


タケの言葉に、一番驚いていたのは藍ちゃんだった。


「そうなの?タケ…友達として助けてくれてたんじゃなかったの?」

藍ちゃんはうつむいたままタケに言葉をなげかけた。

「ごめん…俺は…逆に傷つけてた。でも、友達としてなんて都合良過ぎだろ?」


タケは少し困った表情を交えながら笑った。


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