ゆびきり
「ちがう…。」


僕は、無意識につぶやいていた。



「たっちゃん…?」

藍ちゃんはすぐに僕を振り向いて見た。



「僕の知ってるタケは違う…小さい妹の手をひいて、優しく笑って…」

「いつまでも昔のままじゃ居られない!違わない!今の俺だよ!優しくなんかない卑怯者だ。」

タケは僕の知ってる自分をまるで打ち消そうとでもするように叫んだ。


風が一瞬強く吹いて
路上にあった落ち葉を拾い上げ、転がした。


僕たち3人は、その落ち葉を思わず見た。




その落ち葉は
真新しいスニーカーの前で動きを止めた。



トオの靴だった。


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