ゆびきり
「何で嘘つくんだ?」

トオは、まっすぐタケをみる。


「ついてないよ。」

タケは静かに答えた。

「過去の自分をなくそうとしてる。」

「俺の中に悪い自分がいたんだ。たっくんは友達で、2人が強く想いあっているのも知っていてわざと邪魔したんだ。」



「ごめんね。タケ。」

そう言って藍ちゃんは、どうしたら良いのか分からない両手を胸の前で組んでいた。


「幸せになりなよ…。」
タケはそう言うと、歩き出した。


タケの後ろ姿を見て何も言わずにはいられなかった。


「タケ。僕は、話ずらくなったときも、目の前で藍ちゃんといるのを見た時も、タケを友達じゃないなんて一度も思わなかった。今だって…」

タケは少し立ち止まった。

「小学校のとき、転校したてで、緊張して、かけっこで転んだことがあったんだ。友達もいない知らない学校で、こんな失敗して笑われる…バカにされるって思った時、たっくんが手を差し伸べてくれた。」


「タケ。」


「たっくんはその時俺と走ってたのに、転んだ俺のためにゴール前から引き返した。すごく嬉しかった。」


タケの足元にポタポタと水の跡が付く。

それが涙だということに、タケが振り向くまで気がつかなかった。


「ありがとう。ホントにごめん…何年も2人を引き離した…ごめ…」


泣きながら謝るタケをみて
僕は、やっぱりタケは昔のまま変わりないと安心した。

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