ゆびきり
「たっくんは真面目だからなぁ…てかよく我慢出来てるな。」


トオは頭を腕の中にうずくめて頭を振っていた。

「大事にしたいんだよ…」

それは正直な僕の気持ち
やっと取り戻したんだから、もう手放したくない。


「相手の気持ちを大切にしないと、また不安にさせると思うよ。」


大切にしている。
これ以上ないほど。

会った日は、何度も何度もキスをして抱き締める。

でも…

「藍ちゃんの気持ち…僕は考えることできないのかな…」


次に会うのはいつになるかな。


机の上に無造作に置かれたカレンダーを見る。


そういえば…
今回は1ヶ月以上会ってない。



カレンダーを見つめる僕の横で、トオは呟いた。

「分からないのはお互い様だよ。大事なのは相手に自分の気持ちを伝えることだよ。」

僕は思わずトオの顔をみた

「トオって…なんでそれで彼女と続かないんだ?」


すると、けっこう力のこもったパンチが飛んで来た。

「いってぇ…」

「分かってても出来ないもんなんだよ。」


なるほど。

出来ないもんなんだ。


そう納得した僕の頭は、パンチの衝撃でジンジンしていた。



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