ゆびきり
『たっちゃん?おーい!たっちゃん?』

タイミングよく、一番聞きたかった声に僕はしばらく聞き入っていた

「あ。ごめん!どうした?」


『何か元気ないよ?何かあった?』


「藍ちゃんに…会いたいと思ってたとこだったから。」

『え!?』

真っ赤になる藍ちゃんの顔が見えるようだ。


「もう一ヵ月会ってない…会いたいよ…藍ちゃん」


次はいつ会えるかな。

『わかった!行く~。』

「え!」


『待ってて!今から行くから』


「藍ちゃん?」


藍ちゃんは電話を一方的に切ってしまった。


「しまった…」

止めても来るだろうな…
そこが可愛いんだけど。


「来るって?」

「聞いてたのかよ。てか何でトオ顔赤いの?」


「聞いてるこっちが恥ずかしかった。」


「うるさい。」


今度は僕がパンチを食らわした。

トオは頭を擦りながら少し浮かない顔。

「今日泊まろうかと思ってたのに。」


「泊まればいいじゃん」
どうせ外で会うし。

「んなこと出来るかよ」

「じゃあ明日また来いよ。」


「仕方ない。そうするか。」

トオは笑顔を見せた。

こいつの笑顔はけっこうかわいい。
モテるのも納得。


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