ゆびきり
でも…ダメだ…

「藍ちゃん…今日はやっぱり帰りなよ。」


「え?」

藍ちゃんは僕に抱き付いたまま、僕の顔をみた。
自然に上目づかいになって可愛い。

「僕…藍ちゃんと再びできるなら…その初めては素敵なホテルで、すげぇいいムードでしたいって思ってるから…」

何か口に出すと恥ずかしい。

「何で?」

「初めてのとき、約束したのに、ムードなんてゼロで部屋でやっちゃったし、ずっと気になってたんだ。」

「たっちゃん…」

「今度ホテルとっとくからさ。」

もう恥ずかしすぎる。
顔も絶対真っ赤だ。

無意味に目の前の料理に手を出し口に運んだ。

「たっちゃん。違うよ。」

「え?」

「藍…あの時すごく幸せだった。一生忘れられない素敵な想い出だよ。」

僕は藍ちゃんの目を見つめた。

まっすぐ僕を見つめるその瞳の力強さに、金縛りになったような感覚を覚えた。



「でも、今日は帰ろうかな。」

藍ちゃんは笑顔で言った
僕は内心

え!?
こんなに盛り上げといて?
そう言いたいのは山々だったけど…


「うん。次いつにする?予約しないと。」


自分で言い出したらのだからと、無理矢理自分を納得させ、紳士的に答えた。


「来週ね。」


そうだね…
待てない性格だもんね。
僕も待てないけど…


急いで雑誌みて調べないと。


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