ゆびきり
箱を開けた時の藍ちゃんの顔を思い出すと、思わず顔が緩む。


「お巡りさん。暑くて頭おかしくなった?」

僕が下を見下ろすと
近所の小学生が、ニタニタと笑っていた僕を見上げていた。


しまった…

僕は、まだ勤務中。

交番の前で立っていたのだった。


でも…

「ちょっと幸せなこと思い出していたんだ。でも中のお巡りさんに言ったらダメだよ。お巡りさん怒られるから。」

僕は、口のまえで人差し指を立てる。


「わかった!」

お巡りさんとの男の約束に、小学生は興奮ぎみに言った。


「でも…思い出していた幸せなこと僕にも教えてね。」


しっかりした子だ。


仕方がなく僕は話すことにした。


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