ゆびきり
「それで!?箱には何が入ってたの?」

話しだすと、すっかり食いついてきた小学生。

このひたむきな一生懸命さが可愛い。

「女の子が好きなものだよ。」


「何?それあげたら喜ぶの?早く教えて。」

「それはね…」

言いかけた時
大きな荷物を持ったお婆さんが、横断歩道を歩いていた。

足が悪い上に荷物が重くて進まない様だった。


「ちょっと待っててね。」


僕は、小学生に優しく言うと、駆け足でお婆さんに近付いた。


「お荷物お持ちしましょうか?」

僕は満面の笑みで、お婆さんの警戒をとく。

最近は、非道な犯罪も多く、老人に親切そうに荷物を持つと話しかけて、そのまま荷物を持って走り去る。

そんな奴がいるせいで
本当に親切に手を貸す人間が疑われたりする。



「ありがとう。家は近くだから横断歩道渡るまでよろしく。」


お婆さんはそう言うと
大きな荷物を笑顔で差し出した。


手に持つと、ズシッととんでもない重みが…。


「よろしくおねがいしますよ。」

お婆さんはスタスタと
6車線にわたって描かれている長い横断を渡っていった。

「すげぇ…元気…」

ブツブツ呟きながらお婆さんの後を追いかけた。

< 228 / 336 >

この作品をシェア

pagetop