ゆびきり
お皿の料理がなくなった頃、トオの出した結論はこうだった。

「何かあったんじゃねえ?最近変わったことない?」

「普通だったけど…」


家で何かあったなら、母さんに聞いたら分かるかもしれないけど、わざわざ聞くのもなぁ。


「藍ちゃんにおかしいとこあったら気がつくか。ずっと一緒にいるもんな。」


「そうでもないよ。分からないことだらけ。」


「そういうもんかなぁ。」



トオは、コーヒーに手を伸ばす。

カチャンと音をたててトオの唇に引き寄せられるカップ。


「うまぃ。さすがにこだわりあるなぁーここの。」

「まじ?俺も飲も~。」

コーヒーを称えながら
たわいもない仕事の話や愚痴を言い合った。


僕には、この時間が必要だった。



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