ゆびきり
「僕…だけど…」


「うん…」


予想以上に気まずくて重い雰囲気。


「指輪受け取ったよ。通りすがりの人が落とし物と間違えて持ってきたんだ。」

「たっちゃん…何で怒らないの?」

藍ちゃんは、少しキツめの口調で言った。

「僕の気持ちは変わらないから…。てか、怒って欲しいの?」

「だって、あの日だってたっちゃん何も言わなくて…藍が逆の立場なら怒ってる…と思ったの。」
あの日って、あの雨の日だよね…

「怒ってるよ。」

僕ははっきり伝えた。

「でも…」

何かを言いかける藍ちゃんに


「怒ってるよ。」

と、もう一度言った。


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