ゆびきり
「たっちゃんは、やっぱりすごいよ。いつも自分を見失わない。」

「そう見える?」

「見える。」

藍ちゃんは即答した。

僕は、日々努力していた。

藍ちゃんのカッコいい彼氏でいるために。

でも、それが原因でダメになった。


目標を失った僕はどうなるのか、恐ろしくて考えられない。


「とりあえず、会って話したいんだ。」


「…会えない…どんな顔して会えばいいの?」


「藍ちゃんは藍ちゃんだよ。」


僕が言うと、しばらく考えて


「わかった」


と受話器の向こうから、返事が返ってきた。


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