ゆびきり
「早いね。待たせた?」

僕が後ろから話しかけると、藍ちゃんは少しビクッとした。


「たっちゃん。早いね!」

一応…笑顔だったけど、目は焦点が定まらない感じで、キョロキョロ色んなとこを見ていた。

「ごめん…無理矢理呼び出したりして。」

僕は、一言そう言って席に着いた。


「いいの。藍も会いたかったから…て、こんな言い方ダメだね…ごめん!」

藍ちゃんは見るからにオドオドしていた。

頻繁に前髪をかき分ける様に触る。


「なに緊張してるの?」

僕が何気なく聞くと

「ごめんなさい。」

とうつむく。


沈黙に包まれる僕たちの横のテーブルのカップルが、楽しそうに笑いあいながら、席を立った
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