ゆびきり
グラスを出して、氷を入れてトオの好きなシングルモルトを注いでいると
「あのぅ…二人とも彼女はいらっしゃらないんですか?」

と聞かれた。


「いないけど…まぁ…今夜は楽しもうよ。」

トオにはいるけど…まぁ…僕に付き合ってるわけだし、言うだけ野暮だ。

「は…はい!」

笑顔の女の子は可愛かった。




カウンターからリビングに帰ると

「はぁん…」

と荒い息遣いが聞こえた。


でも、気がついたのは扉に手をかけた後で、僕は部屋の中に入ってしまった。


ソファの上にはまくり上げられたニットアップのスカートとカットソーを身にまとった女の子と

捲り上がった服から出てる身体に触れているトオがいた。



「なっ…!?」

焦る僕を尻目に、トオは全く気にしない様子で

「おかえり。遅かったね。」

と、手を止める事なく言った。


そう言われてしまうと、テーブルにグラスを置くしかないわけで…


グラスを置くと、向かいのソファに座るしかないわけで…


ソファに座ると僕の横にいた女の子が、腕に胸を押し付けるように、もたれかかってきた。

上目づかいで。



…案外大胆だ…
慣れてる…?


そんな戸惑いは必死で内に隠して
女の子の唇に
僕の唇を重ねた。

女の子はそれに激しく答えた。


< 275 / 336 >

この作品をシェア

pagetop