ゆびきり
「俺たちは、明日仕事だから帰るけど、金は払っておくから、ゆっくりしていきなよ。」

時計が1時52分をさした時、僕とトオは部屋を出た。


結局、相手の名前も、連絡先も聞かないまま。

「あっちもそれを望んでるんだから。」

トオはそう言っていた。

事実、あっちも何も言ってこなかった。


少しひんやりした空気だけど、まだまだ街は活気づいていた。


「たっくんてさ…藍ちゃんとしかしてないくせに上手いよな?」

「はぁ?」

覗いてた!?

「遊ぶのはいいけど…あんまりいじめちゃダメだぞ。」

トオはそう言いながら笑った。


僕も笑った。


大丈夫。
僕は笑えているよ。



藍ちゃん…。


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