ゆびきり
「婚約することになったんだ」

トオから連絡があったのは、午後8時をまわっていて、僕はちょうど夕飯のお弁当を食べていた。

「え!でも彼女大学上がったとこじゃ?」

「だから婚約だよ。」

「あ。そっかぁ…」

まだ、結婚はしないってことだね。


「それで、今度彼女の家に行くんだけど…たっくん一緒に行ってくれない?」


「えー!何で僕?」

思わず手に持つお箸を落としてしまった。

「俺の友達もみたいって所長に言われて…」

「僕なんかで大丈夫かな…。」

僕はお箸を拾うと新しい割り箸を持ってきた。

「大丈夫。頼むよー。」

「僕はいいけど…平日でも大丈夫?」

「ありがとう。たっくん。」

トオの喜ぶ声を聞きながら、割り箸を割った。



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