ゆびきり
「美咲、ちょっとお客様おかりしていい?」

「たっくんだよ。いいよ。行ってらっしゃい。」

美咲さんは、トオに少しくっついて手を振った。

「たっくん…」

美智さんは戸惑いながらこちらをみた。

「たっくんでいいですよ。」

「はい…。ちょっと部屋の前に来て貰えますか?」

そう言われて、チラリとトオを見たら、なぜか頷かれたので、言われた通り、部屋の前まで付いていった。


部屋に入って1・2分で美智さんは出て来た。

手にはあの指輪の入った箱を持っている。


「せっかくお会いしたので、お返ししようと思って。」


断ることは出来ないよね。

気が進まないまま、僕は指輪を受け取った。


そして、再びさっきの部屋に戻ろうと部屋の前まで行くと…


「トオく…ん。お姉ちゃんが…戻って…きちゃ…う。」

美咲さんの甘い声が聞こえた。

「美咲…好きだよ。」

トオの声も。


美智さんと顔を合わせてから、部屋をそっと覗く。


トオと美咲ちゃんは、覗いたらすぐ見える位置の壁にもたれかかって…

そして…

キスをしていた。

て言うか、美咲さんの服は、トオによって乱されていて、明らかにこれから…やっちゃう感じ。


部屋に入れませんが!


焦る僕を、美智さんが少し後ろから引っ張る。

「もう少し私の部屋で話しませんか?」

そう言うと、階段を上がって行く。


僕に選択権はないらしい。


ついて行くことにした。

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