ゆびきり
「おかえりぃ。ゆっくりだったね。」

トオはイジワルそうな笑顔を浮かべて僕らを迎えた。


「一度降りて来たら、お取り込み中だったので…。」

美智さんはチラリと美咲さんを見た。

美咲さんは、顔を赤くしてうつむいた。

『お取り込み中』がいつの段階を指して居るのか必死で考えているに違いない。


「気を使わせるような事はしてなかったのですが。」

トオは、白々しくそんなことを言った。


何となくだけど…
美智さんとトオって相性悪い?


少し不穏な空気が流れる中、ガチャっとドアの開く音がした。


みんなの視線が一斉に入り口に向けられる。


< 293 / 336 >

この作品をシェア

pagetop