ゆびきり
「あっ!」

家の門をくぐった時、指輪を美智さんの部屋に忘れてきた事に気がついた。


「たっくん、どうかした?」


「いや…何でもないよ。」

僕は、後ろを振り向き、チラッと美智さんの家を見た。


「それにしてもさぁ…」
トオがそう言ったので、僕は、トオの方を向き歩き出した。

「どうかした?」

「美智さんって、俺と合わないと思わない?だから、美咲の方を俺に紹介したんだよ。」

「確かに…ちょっと相性悪そうだね。」

僕が少し笑いながら言うと、トオはいきなり真顔になり、僕を見つめた。

「たっくんとは合いそうだけど…部屋に居た2時間はどうだった?」

「藍ちゃんの想い出話をしてたよ」


「え!?2時間ずっと?」

トオは、かなり拍子抜けした顔をした。

「なんだぁ。たっくんには美智さんは対象外かぁ…」

「え?なんで?」


「普通は、そういう対象には、そんなこと話さない。」


「そう…かな?」

そういえば…何で…あんなに話てしまったんだろう。

「そうだよ。相手もそうとるさ。」


「対象外ってことはないけど…あっちが僕なんて嫌だろう?」

「たっくんは女心が分かってないね。」

「そんなものが解るなら、別れてないよ。」

「それもそうか。」

トオが僕の肩をポンと叩いた。


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