ゆびきり
「大丈夫です。あなた達は生まれてからずっと一緒にいたのでしょ?彼女は、あなたがすぐには箱を開けないと分かっていたのではないでしょうか?」

美智さんは、そう優しく言いながら、ハンカチを差し出した。


「そう…かも…」

言われてみれば、そうかもしれない。

僕たちは…分からないことがなかった。
解り過ぎてダメだったのかも。

「僕…行って来ます。もう、気持ちが変わってしまって、フラれてしまうかもしれないけど、今行かないと後悔するから。」

涙を手で拭い、美智さんに言ったか、自分に言ったかは分からないけど、僕は決意した。


藍ちゃんに会いに行くと。
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