ゆびきり
「よく…わかったね。こんな暗くて…人がいるのに。」

「今搬送されてるお婆さんを看ていたの。横に座ってたから…」

搬送されていくお婆さんをチラッとみた。
なるほど、近くだ。

でもこの人込みで見つけてくれたことが嬉しかった。

そう思うと自然に藍ちゃんの肩を掴んだ手に力が入った。


「藍ちゃん…」

「たっちゃん…久し振りだね。」

藍ちゃんは笑った。

少し淋しげに。


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