ゆびきり
「これ…今日、中を見たんだ。」

僕はポケットから手を出した。


手のひらに乗る白い箱

藍ちゃんは、全て分かっていた様に落ち着いていた。


「たっちゃんはすぐに見ないって思ってた。でも捨てないって自信あった。」

藍ちゃんは、僕から一歩下がって、少しうつむいた。

周りは騒がしいのに
なぜか藍ちゃんの声だけを正確に聞き取れた。


「でも、深い意味はないの。たっちゃんがこれを見た時…」


「藍ちゃん…?」

少し藍ちゃんの肩が震えてるのがわかった。


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