ゆびきり
藍ちゃんの手が伸びて、僕の手のひらに乗る箱を包みこんだ。

そして、胸元にもう片方の手をかけた。
指は手慣れた様子でネックレスのチェーンを絡めスルスルと服から引っ張り上げた。


「これ…貰っていいかな?たっちゃんは捨てたり出来ないでしょ?」

そう言いながらチェーンにかかった指輪を揺らして笑ってみせた。

「うん。藍ちゃんの為に買ったんだから。」


「ありがとう。」


「僕こそ…ありがとう。」


藍ちゃんは箱をポケットにしまった。

指輪は、また服の中にしまわれた。


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