ゆびきり
藍ちゃんはビックリして
腕を風呂の壁にぶつけてしまい
ガタン!
と音がした


「ちょっとたっちゃん。」

僕は
歯止めがきかなくなって
藍ちゃんに寄る


さらに
ガタガタ…
と音が鳴った


「ちょっとだけ」

僕は藍ちゃんにさらに近づいた


ギシ…
きしむような音がした。


「やっ!ちょっとぉ」





パシャ・・・

水しぶきが舞った。



藍ちゃんはギュッと目を瞑っていた。



僕は藍ちゃんをギュッと抱きしめて
そっと胸を掴んだ。


「たっちゃん…」


藍ちゃんのか細い声が風呂場に響いた



その声は僕の中で響き渡り
僕は我に返った





「ご…ごめん…」


僕はそっと藍ちゃんから離れた



「もう、一緒にお風呂はいるのやめようか?」

僕はそう言った。
自分で自分が怖かった。

藍ちゃんに、今何をしようとしたんだろう。



「藍…友達ともそういう話してるし、たっちゃんが嫌なわけじゃないの…ただいきなりでびっくりし…」


藍ちゃんは思いついた言葉を並べたように言ったけど
言葉が続かないようだった。



「僕先に上がるね」


藍ちゃんを風呂場に残し
藍ちゃんの顔を見ずにあがった。




どんな顔をしてるか想像できたから

それを直視する勇気がなかったんだ。






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