ゆびきり
「たっちゃん。心配してくれたって…ほんと?」

藍ちゃんは少し急いで走ってきて
上目ずかいに言った。


「何の用だったの?」

僕は藍ちゃんの顔をみた。


少し赤くなっていたその顔は
走ってきたせいなのか
タケの言うとおり照れてたからなのか…。


「先輩に、一緒に花火大会に行かないかって誘われたの」

「そっか。」


「もちろん断ったよ。」

何も言ってないのに
藍ちゃんは言い訳をするように
慌てて言った。



「うん。今年は2人で行こうね。藍ちゃん。」

僕は藍ちゃんの頭に手を置いた。


藍ちゃんは、少しポカンとしていた。


「どうしたの?藍ちゃん?」

「あ。ごめん。なんだかあらためて誘われると恥ずかしくなっちゃった」


「そっか。そうだよね。」


僕がそう答えると、藍ちゃんは笑顔になった。


ほんといちいち可愛いな。
なんて思ってしまった。


いつも一緒にいるのに
毎日可愛い藍ちゃんを見つけてしまう。




この時はまだ
僕たちはずっとこのまま
僕たちだけの世界に居られると信じていた。





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