ゆびきり
花火はまだ
ずれた音を立てて
夜空を照らしていた。


「藍ちゃん。あっち行かない?」

「うん。」


滝川先輩はこっちを見ていた。




僕は藍ちゃんの手を握り
花火を見とれて足を止めている人立ちの中をぬぐって
進んでいった。





藍ちゃんが滝川先輩を見ることはもうなかった。






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