ゆびきり
「きいてんのか?おーい?」

中野くんが僕の顔を覗き込んでいた。


「え?」

僕が中野くんと目を合わせると

「ごめん。冗談のつもりやったんやけど、気にしてもた?」

と不安な表情をみせた。


「あ、ううん。ごめん。ちょっと考え事してたんだ。」

「…。な…なんや、ビックリしたで。」

「僕も、そういうこと考えなくはないけど・・・どうもね…」


窓の外を少し覗きながら言った。

教室の真ん中かから覗いても空しか見えないけどね。
今日は雲ひとつない青空だった。



「タケどう思う?」

中野くんは後ろを振り向きタケに言った。

「俺に聞くなよ!経験ないんだから。しかも彼女も居ないし…」

タケは泣きまねをしながら答えていた。




「そういえば、タケって何で彼女つくらへんの?」

誰もが思っていながら、あえて聞かなかった質問を
あっさり言ってのけた中野くんは
いつもながら強者だな。


「いろいろあるんだよ!」

タケは中野くんにけりを入れながら答えた。
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