ゆびきり
「かなと修二は友達と浜辺の別荘に遊びに行って、夜になったら友達が結託して先に帰っちゃうの。そして夜に星空に囲まれて…」


クラスの女子が
まさに藍ちゃんが読んでる漫画をみていたから

ちょっと声を掛け聞いてみると
かなりこと細かく教えてくれた。



海辺の別荘?

中学生に無理だし…


だいたいわざわざ来たのに帰っちゃう友達なんかいるか?



こんなの
何がいいのか理解できね

僕が色々考えていると

「たっちゃん興味あるなら貸そうか?」

なんて言われて
きちっと並べられたコミックを差し出された。



「イヤ…いらない…」

僕の顔がかなり引きつっていたのか
女の子は笑いながら言った。


「彼女に言われたの?」


「いや、言われたわけじゃないけど…こういうの好きなんだろ?」

照れ隠しに少し鼻を擦りながら言った。


「たっちゃんて、ホントに彼女が好きなんだね。」


「うん。好きだけど」

即答すると、頭を叩かれた。

「いて!!」

「鈍感!!」

そう言い残して立ち去っていく女の子。

俺の手にコミックを乗せていったのだった。


< 97 / 336 >

この作品をシェア

pagetop