ばーか。
柊side


「蒼井君?!」

誰かと思ったら。


「ビビった…せんこーかと…」
「あたしもだよっ」

女。


「蒼井君、あたし、わかるよね」

…たしか、有本とか。
後ろの席のばかな女。

「…女だろ」
「いゃ、まぁそうなんだけど…名前、とか」
「…知るかそんなん」

んなもん素直に答えると思ったら大間違い。


「あのさ…話してるときは相手の顔見たほうが」
「ハア?」

説教かよ。
…なんなんだよこのばか女。


「はい、向いた。これでいーわけ」

俺優しー。
そんなやすやす女の方見るなんて、めったにねぇぞ。


「……んだよ」
まじまじ見られ、やな気持ちになる。

…恥ずかしいとかねぇけどな。



「あ、あ…えと…蒼井君…て」
「あ?」

「…」

かっこいーとか言うんだろどうせ。


「あ、蒼井君て、その…
……げ、元気ないよねっ!」



…元気ないよね?


…ふーん。



へぇ。


かっこいーって言ったら
即座にガン無視だけど。



「…いい度胸してんじゃん?」



生意気。

かまってやろーじゃん…?
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