ばーか。
花歩side



「あたしの気のせいかもなんだけどさ」
「ん?」

放課後の部活中。
あたしたちはクッキーが焼き上がるのを待ってる。


「高倉、こっち見てない??」
「え?どこ」
「グラウンド」

グラウンドを見ると。
サッカーボールを持った高倉がこっちを見てる。


「おなか空いてんのかな」
「てかこっち来てない?」
たしかに、
グラウンドと逆方向に歩いてる。



「有本〜若田〜」
「「あ」」

噂してたら、
高倉が裏のドアをたたいてる。

「花歩でてくんない?」
「わかった」

あたしはドアにむかう。


「ちょ、叩かないでよ」
「わりーわりー。…なぁ、腹ペコなんだけど…今なに作ってんの?」
「クッキーだけど…」
「それ、ちょっと食わせて?」
「えー」
「な、五枚でいいから」
「十分多いから。」
「お願い!このとおり!」
頭を下げる高倉。


「奈津、どーしよ」
「五枚ぐらいいんじゃない?大量にあるし」
「お、若田優しい〜!それに比べて有本は…」
「うるさい!…じゃ、ちょっと待って」

それに比べて、って!


「はいどーぞ。」
「サンキュー!!やった〜!いただきー。じゃ」
「うん」


クッキーを持って走りだす高倉。
…まったく。


「ねぇ、花歩」
「うん?」
「…たしか井ケ田さんて、高倉にゾッコンだよね…」
「あぁ、有名な話だよね」

神妙な表情になる奈津。 な、なに?


「どしたの?」
「ん〜…なんかやな予感するんだよねー…」


やな予感…?


それって…?
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