ばーか。
勘違い
「え〜、15ページを開いて」
あれから、毎日毎日。
充実してる。
授業中は目の前に憧れの蒼井君。
お昼休みもときどき、
屋上でおしゃべりしてる。
…明里ちゃんには悪いけど、たくさん話したい。
少しでもたくさん。
蒼井君に、
憧れてるから。
「蒼井君っ、今日の放課後さぁ!」
「ちょっと!ズルいよ」
「あたしも!」
いままでは、休み時間はちゃんと席を外してた。
ファンの女の子のために。
だけど、 いまは
あたしもファンなんだ! どかなくて、いいよね?
あたしも話しかけて、
いいんだよね??
「ぁ、蒼井君」
「…有本?」
「あ、あのさっ」
「…なぁ」
しばらくぶりにきいた
冷たい声。
ファンにむける声。
頭に響いてる。
なに…?
なんか、怒って…
「話しかけないでくんない?」
…それって。
あたしのキモチ…
ばれちゃったのかな…
「ご…ごめんなさい」
なんか。
あたし泣きそうだ。
理由は…
蒼井君に憧れてるから。