Song for you
「全然!痛くも痒くもねぇ!」


そう言うと俺は学校を出た。
今日も練習!


「…あんなのに必死になんて、本気にして。どこまでバカなのよっ……」


お前のため。

初めはそう思ってたけど、思ったよりギターは楽しいらしく、厳しい練習も楽しく思えてきた。

前まで、何もすることもなく過ごしてきた日々の中に、たった一言言われたくらいで始めたギター。
毎日何かをするってこともなく、だらけていた日々の中にいきなり現れたギターの存在。


こんな風に何かに取り組むことが楽しくて仕方ないのも。
彼女の何気ない一言だったけど。

でも、それでもギターに出会えたのもそいつのおかげで…なんて大袈裟に思ってみたりもして。

心配そうに指を見つめる彼女を更に愛しく感じて、またギターを練習する。


< 6 / 22 >

この作品をシェア

pagetop