《完》天使の微熱 〜アクマなアイドル〜
こんなに優しくあたしに
触れる手は、両親以外じゃ
きっと初めて。



あの玲斗の手なのに。



あたしをいじめてばかりの
玲斗のくせに、どうして
こんなに優しいの……?




――この手の感触だけは、
忘れたくないかも。



そんなことを考えた時、
玲斗のしっとり汗ばんだ
腕がグッとあたしを抱き
起こした。



正面から見つめ合った彼の
瞳は、やっぱり宝石の
ような妖艶な黒さをたたえてる。



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