《完》天使の微熱 〜アクマなアイドル〜
あんな夜はきっと生まれて
初めての経験かもしれない。


……冗談でなく、そう
思っている。



そう――今まで体を合わ
せた女は、星の数ほどいるけど。



あの夜だけは、違ったんだ。



何がかなんてわからないけれど。



(ただ、欲しかった。

陽菜のことが――本気で)



陽菜はまるで咲く寸前の、
白くて淡い花の蕾のように
見えた。



そしてその蕾が、咲く前に
誰かの手で手折られて
しまうなら――いっそ
今すぐ、自分が摘んで
しまわないと。



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