《完》天使の微熱 〜アクマなアイドル〜
彼の指に触れてカチャッと
小さな音をたてたのは――
さっき玲斗があたしに
つけてくれたネックレス。




――宝石をはめ込んだ、
小さな鍵のモチーフ――…。




「……外しちゃダメだよ、
ずっと」



『陽菜ハオレノモノッテ
イウ、シルシ』



鼓膜を震わせるのは、
やっぱり悪魔の囁きだって。



ようやく悟ったけど……

もうその時のあたしには、
手遅れだった。



――ダメだよ。拒めない。

逆らえない。


こんなに甘くて痺れる
ような誘惑。



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