【短編】2度目の初恋
率先して聞いてきたのは、美咲。


いや、すきとか、きらいとか。


そんなことを考える前に、どうやって明日勝つかしか考えてなかったんだけど…
ってか、毎日あんなことされていたら答えなんてすでに出ているも同然。


「まいにちイタズラされるんだよ?すきなわけないじゃん」


後ろにいる女子何人かの囁く声が聞こえたが、こちらまでは聞こえなかった。


「それに」


なんで女の子ってのは、恋愛話が好きなのだろうか。

やれ、「あのこかっこいい」とか「○○ちゃんは○○くんがすき」とかそんな話ばかり。



正直、興味がない。


人のことなど、どうでもいい。



「進藤がわたしをすきだなんて、しんじられない」




その瞬間、教室内の時間が止まった気がした。




女の子の集団の、本当に少しだけ途切れていた、本当に小さな隙間。


その隙間から、今まさに教室に入ろうとしている人物が垣間見えた。


< 10 / 57 >

この作品をシェア

pagetop