【短編】2度目の初恋
11年ぶり
「………」



早起きし過ぎて頭がクラクラする。


慣れないことはあまりしたくはないが、今日は仕方がない。
一生に一度の晴れ舞台なのだ。


気合を入れなくては。


未だ夢の中にいる自分に活を入れ、軽めの服装に着替える。




本日は成人式。

早朝から美容室に行き、眠い中髪の毛をセットアップ。
ちょっとキツめに着付けてもらい、写真を撮って、集合時間までのんびり過ごした。



うとうとしながら今朝見た夢を思い出す。



懐かしい。


ずいぶん昔の思い出。



しかし、夢の先は覚えていない。
夢だから覚えていないのではなく、記憶からすっぽり抹消されていた。



あの後、私は彼に何をしたのだろうか…



ずっと気になっていた。

なぜかそこから小学校生活すべてが空白になっている。

まるで『思い出してはいけない』と誰かに警告されているかのように。


< 12 / 57 >

この作品をシェア

pagetop