【短編】2度目の初恋
「ひさしぶりー!」
「その着物可愛い!どこで買ったの?」
「そういやあそこの大学行ってるんだって?いーなー!」



会場まで行くと、いろんな会話が聞こえてくる。

同級生、他校の人、見に来た先輩・後輩、親御さん。

たくさんの人で入り乱れながら会場前はちょっとしたお祭り騒ぎ。
あまり人ごみは好きではないが、それが知り合いの集まりだと思えばあまり気にならない。

不思議なものだ。



友人達と受付を済ませ、客席まで向かう。
小・中・高校まで同じだった女友達。
それぞれ別々の大学に入り会うことも少なくなり、連絡は取り合っていたが実際に会うのはご無沙汰なので、近状報告に華が咲く。


「愛菜ちゃん、先輩と別れたんだって?」
「だいぶ前だよ」
「えぇー!すっごい仲良かったじゃん!」
「ってか、先輩振るなんて勇気あるわ~」


本当に広まるのが早い。
三人のうち一人には話していたが、人の色恋沙汰はすぐに噂になる。


「結構長かったよね?」
「先輩の卒業式からだよね」
「うわ~…もったいない」


話題になるとは思っていたが、やはりあまりいい気はしない。
これが親しくない友人なら間違いなく張り倒していただろう。

そこそこ会話を流しながら、席につく。


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