【短編】2度目の初恋
「ひさしぶり」


声の主を見る。

瞬間、記憶が遡る。


「進藤…」


中学卒業以来だろうか。
いや、小学五年で二度目のクラス変えをしてからはまたクラスが離れ、そこからあまり会うことがなくなったので、本当に久しぶりになる。
たまに廊下で遊んでいる声を聞いたりはしていたが、話すことはほとんどなかった。


「…来てたんだ」
「あぁ」



懐かしい。



甘酸っぱい気持ちが蘇る。

今朝夢で見たこともあり、それが余計に繊細に思い出された。



完全に声変わりした、テノール声。

中学時代よりさらに伸びた身長。

制服からスーツに身を包み、少年から男性に成長していた。

昔とは違うが、昔好きだった、初恋の人。



「なんでここに?」
「涼みに来た。会場異様に暑いし」
「ふふっ…じゃあ一緒だね」


また視線を庭に戻す。

同窓会なのだから彼がいても不思議はないのだが、会場ではなくてまさかここで会うとは思わなかった。


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