【短編】2度目の初恋
彼に会うことを考えていなかったわけではない。
ただ会うなら大勢の人がいるところで会うと思っていたので、思いがけない再会に胸の動機が速まる。
どう、反応していいのかわからない。
あの頃に戻ったかのように体が強張る。
別に男性が怖いわけではないのに。
対応に困る。
彼が何か言おうと口を開く。
その時。
「愛菜ちゃぁーん!帰るよぉー!?」
はっ、と我に返った。
遠くで自分を呼ぶ声。
歯痒い空気の流れるこの場から、立ち去れる。
そう思い、歩き出そうと一歩踏み出した。
「待って」
横を通り過ぎようとすると、腕を掴まれた。
今日はよく捕まる日だな。
そんなことを思考の回らない頭でぼんやり考えていると、一枚の紙を握らされた。
「連絡…待ってる」
月明かりとホテルの明かりで微妙に揺れる瞳。
夢の中の光景と重なる。
不安定に注ぐ視線。
こんなことがついさっきもあった気がした。
しかしそんなことを考えられるほど余裕はなく、小さく頷いて背を向け歩き出す。
くしゃくしゃになった紙を握り締めたまま。
ただ会うなら大勢の人がいるところで会うと思っていたので、思いがけない再会に胸の動機が速まる。
どう、反応していいのかわからない。
あの頃に戻ったかのように体が強張る。
別に男性が怖いわけではないのに。
対応に困る。
彼が何か言おうと口を開く。
その時。
「愛菜ちゃぁーん!帰るよぉー!?」
はっ、と我に返った。
遠くで自分を呼ぶ声。
歯痒い空気の流れるこの場から、立ち去れる。
そう思い、歩き出そうと一歩踏み出した。
「待って」
横を通り過ぎようとすると、腕を掴まれた。
今日はよく捕まる日だな。
そんなことを思考の回らない頭でぼんやり考えていると、一枚の紙を握らされた。
「連絡…待ってる」
月明かりとホテルの明かりで微妙に揺れる瞳。
夢の中の光景と重なる。
不安定に注ぐ視線。
こんなことがついさっきもあった気がした。
しかしそんなことを考えられるほど余裕はなく、小さく頷いて背を向け歩き出す。
くしゃくしゃになった紙を握り締めたまま。