【短編】2度目の初恋
気を取り直して彼の元へ戻ろうとした。
待たせている場所へと向かう。


そこにいたのは、彼と。


彼の、元彼女。


美咲。





二人が付き合っていると人づてに聞いたのは、高校に入学してすぐだった。
春休みの間に何かあったのだろう。
詳しくは聞いていないが、それから三ヶ月ほどで別れたと聞いていた。



それからだ。


彼女と私の交友が深くなったのは。



進藤と美咲の話題は一度も触れたことはなかったが、彼がモテていたこと、彼女が出来ても一ヶ月は続いていなかったこと。

そんな話は別の人から聞いていた。

だから私の情報の中で、彼が最長に付き合っていたのは今のところ美咲なわけで…





視界に入らない場所で二人の様子を観察する。
どこからどう見ても仲の良いカップルにしか見えない。


なんで別れたのだろうか。


もうずいぶん前だか、気になってはいた。





彼女が軽くボディータッチをし、何かを囁く。

それに嬉しそうに答える彼。



…ここで出て行くのは得策ではない。



そう思ったのと同時に体の向きを変え、早足でその場を去る。




…痛い。


胸が、痛い…




知ってはいたのに、目の当たりにしたその姿に呼吸が荒くなる。


< 23 / 57 >

この作品をシェア

pagetop