【短編】2度目の初恋
“ お似合いのカップル ”


当時もそう噂された。


可愛く小柄で色白、少し天然の入った男受けの良い、憎めない美咲。

思春期に入り急激に身長が伸び、元々童顔気味ではあるが綺麗な顔立ちをしている、少しやんちゃっ気が残っている進藤。


美男美女とはこの二人のことを言うのだと思った。



理想のカップル


誰もが羨む二人



周りもずいぶん騒いでいたが、予想に反して短かった交際期間に「なんで別れたの!?」と、また沸いていた。
私は興味がなかったが、耳を塞がなくても入ってくる噂話を自然と聞く形になっていた。




あの時はなんとも思わなかったのに。

なんで今頃、こんなに意識するんだろう…

別に普通に出て行けばよかったのに。




なんで



逃げて来てしまったのだろうか…




胸が締め付けられる。
もう何年も、こんなに苦しくなったことはなかった。


たぶん彼を初めて意識した日からずっと。


< 24 / 57 >

この作品をシェア

pagetop