【短編】2度目の初恋
初めて見る顔。
去年、隣のクラスだった人だろう。
一緒に成長してきた男子とは違う、少し成長して出会った男の子。
こちらも新鮮だった。


「おなまえは?」


席をまだ見つけていない人。

知り合い同士で話し出す人。

教室を走り回る人。

先生に群がる人。



少しも大人しくない教室で、ほぼ同時に席に座った隣人に話しかける。

一瞬、相手が強張った。

だが、そんなことなど8歳の自分は気にならなかった。


「わたし、杉村愛菜(すぎむらあいな)。よろしくね!」


新しい友達が出来た。

そんな嬉しさを込めて手を出す。
相手もそれを見て緊張を解く。


「進藤亮也(しんどうりょうや)。よろしく」


絡まった手の温かさに、また笑みが深くなる。

楽しくなるといいな。

これからの学校生活に期待が深まる。


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