【短編】2度目の初恋
二月に入り、寒さが少しだけ和らいでくる。
水曜は午前のみの授業。
だからバイトも早めの時間に入れてもらっていた。

身体を動かしていると落ち着く。

余計なことを考えなくていい。

とくに夕方は学生や会社帰りのOLさんが来るので、忙しく動くのは気が楽になる。



今はその忙しさの前の平和な時間。
アイドルタイムと言われるその暇なときにも、夜に向けての準備が進められる。
溜まった食器を洗ったり、テーブルセッティングをし直したり。
そういった細々した作業も結構好きだった。


「杉村さん」


奥の席を整えているとマネージャーに呼ばれた。


「貴方にお客さん。ついでに休憩行っていいわよ」


マネージャーの向こう側を見ると、入り口に見慣れた小柄な女性。
笑顔で手を振るその人に軽く相槌し、コートを取りにバックルームに向かう。


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