【短編】2度目の初恋
進藤が自分を好きだと聞いた後、愛菜は一切進藤に対して話さなくなった。

いわゆる無視。

進藤も自分が愛菜を好きだと知られ、話しかけづらくなったらしい。
それも重なってか、まったく喧嘩もなくなったどころか挨拶さえしなくなったという。


教室は平穏になって先生は大喜びだったが、逆に変な空気が漂うようになった。
あまりに露骨すぎる愛菜の無視とそれをなんとも言えない顔で見つめていた進藤に、周りはハラハラしっぱなし。
結局小学五年生のクラス替えまで一度も話すことはなかったらしい。




「…ほんとに?」
「ほんとに」


渋い顔をされ、絶句する。
そこまで酷かったとは…


「一度も会話なし?」
「うん。しかも他の男子には優しいんだもん、愛菜」
「う…」


なんとも言えない。
その光景が想像出来るから、余計に苦虫を噛まされたような顔になる。


「長い間、ずっと悩んでいたんだよ」


あの日からずっと、亮也が貴方のことを見ているのを身近で見ていた。

一年生から亮也とは同じクラスだったんだ。



と、美咲は話し出した。


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