【短編】2度目の初恋
しかし、偶然聞いてしまった。


その日の放課後、忘れ物をしたので教室に取りに戻ることになる。
そこには三、四人のクラスの男子が、夕日に赤く染まった教室で談話をしていた。


「なあ、なんでおまえって杉村とまいにちけんかしてるんだ?」
「よくつづくよな~」
「うっせぇ」


ランドセルに教科書を入れる手は止めず、会話は進む。


「まさか!杉村のことがすきとか?」
「すきなこほどいじめたいぃ♪」


ドクン


心臓が高鳴った。
今までそんなことを考えもしなかったので彼の反応が気になる。



おちょくっている男子を無視し、でも、動きは止まっていた。



「うわっ!マジで!?」
「それにしてもどうどうとイジメてるよな…」


こちらから彼の表情は伺えない。

耳まで真っ赤になっているのは夕日のせいか、それとも…


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