【短編】2度目の初恋
それ以上聞きたくなくて、その場は去った。
彼が愛菜を好きだということは、翌日男子が広めていたので関与はしていない。
が、やはり気になってしまった。

“愛菜ちゃんはどうおもっているの…?”



その後、あの騒動以来元気がなくなった進藤を一生懸命慰めた。
そして中学の卒業式に告白し、晴れてつき合うことになった。



が、彼の気持ちがまだ愛菜にあること。


自分では代わりになれないこと。



それを察して自ら別れを告げた。




「同窓会で貴方を見つけたときの亮也の様子…録画して見せてあげたい」


くすくすっ、と楽しそうに笑う。

複雑な気持ちがこみ上げてきた。
どう、反応して良いのか、わからない。



最後に、と美咲が付け加えた。


「私は亮也とは復活してないから。今はちゃんと愛しいダーリンがいるんだからね」


腕組んで喫茶店に入ったのはちょっとしたおふざけよ。

幸せそうに、笑う。



それを見て少しだけ心が軽くなった。


同時に申し訳ない気持ちも膨らんでいく。
こんなに良い友人に私はたくさん迷惑をかけた。


「もう!そんな暗い顔しないでよね!なんの為に諦めたのか、今こうやって話したのか、わかんないじゃん」


ぷくーっと頬を膨らませながら人の頬をつまんで来る彼女を、本当に愛しいと思う。



ありがとう。



上手く言葉に出来なかったので、感謝の意を笑って表す。


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