【短編】2度目の初恋
「…ぷっ」
「え?」
「なーにマジになってやんの?こっわがっりさ~ん?」
「~~~~~~!!!」
「こっこまっでおいで~」
「まちなさいしんどぉ!」


俺では笑わせることが出来ないのか。

でも、それでもいい。
彼女が俺を見てくれるなら。


いつも俺だけを見ていてくれるなら――――




「なあ、なんでおまえって杉村とまいにちけんかしてるんだ?」
「よくつづくよな~」
「うっせぇ」


ある日の放課後。
グランドで散々遊び、もう夕方の下校時刻を回ろうとしていた。


「まさか!杉村のことがすきとか?」
「すきなこほどいじめたいぃ♪」


いきなり話題を振られ、油断していた。
顔が火照って行くのがわかる。
体が、熱い。


「うわっ!マジで!?」
「それにしてもどうどうとイジメてるよな…」


動きの止まった俺を見て、友人達はそれを『肯定』と受け止めた。


「なぁなぁ。いつから?」
「…わらうなよ」
「わらわない、わらわない♪」
「…しぎょうしきから」
「うっわ!マジで?」
「ってか、つぎのひからけんかしてなかったっけ…?」


その通り。
次の日からちょっかいかけまくって、毎日喧嘩している記憶しかない。


「…おまえ、ぜったいむりだとおもう」
「なんで!?」
「いや、ふつうにかんがえて…」
「いじめすぎだろ」
「う…」


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