【短編】2度目の初恋
「なんで…帰ったんだ?」


不愉快にさせてしまったことを謝ろうと思った。
だが、黙って帰った理由が聞きたかった。


期待していた。

ヤキモチを焼いてくれたのではないか、と。



しかし目の前の人は、目を伏せ、何も喋らない。



現実はやはり厳しかったのだろうか。
彼女は自分のことを、なんとも思っていなかったのか。


「…昔と同じなんだな」


言うつもりはなかった。
しかし、自然と口から出てしまう。
そして返ってきたのは、またも無言の返事。



“嫌われた”



その現実が、悲しさと怒りとでどうすることも出来ない。
この気持ちを吐き出す場所がない。


やはり、この人とは交わることがないのか。

絶望感でいっぱいになる。




嫌いなら嫌いと、ちゃんと言ってほしかった。



無言はあまりにも重過ぎる。


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