【短編】2度目の初恋
進藤が自分を好きだと聞いてから意識し出すようになった。
でも今まで喧嘩ばかりでそんなそぶりを一度も見ていないどころか、直接言われたわけでもないし、ましてや隣の席。


今までどんな風に話しかけていたのか。

どう対応していたのか。


頭が真っ白になった。
それがきっかけで、話したいことを話すことが出来なくなってしまった。



「おれ…さ。杉村のこと…すき…」

「………」

「…だったんだ」


あの時に『自分もすき』と言っていれば、何か変わったのだろうか。
言えなかった後悔も重なり、ずっと忘れられないでいた。


そして高校入学。
『美咲とつき合っている』と聞き、ショックと同時に納得もした。

仲が良かったのを、ずっと見ていたから…



それからこの想いを断ち切ろうと思い、告白してくれた人とつき合ってみるが長くは続かず。
最後につき合った先輩は、『忘れられない人がいる』と言って断ったが、それでもいいと言われ、根性負けした。



だが、いいわけがない。


今ならきっぱり言い切れるのに。


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