NIGHT MOON
「それともう一つ…僕は……俺は死んだ姉の事が好きだった」



「え…」



「戸籍上では姉だが、本当は血縁関係はないんだ。そんな姉の事を俺は昔から本気に愛していた」



やはり夜月の睨んだ通り
晴海は死んだ姉に
姉弟以上の感情を抱いていた。



その事をはっきり言われた
朱里は急に晴海が恐くなり
この場を逃げ出そうと
足を一歩前に進めた。



しかし、その瞬間、晴海は
朱里の事を後ろから抱き締めて
身動き出来ない様にしてきた。



「……離して…」



朱里は必死で抵抗するが
強い力には無駄な抵抗だった。



「あかねをあんな男の所に行かせない!あかねは俺のものだ」



「お願い離して」



「俺の側にいてくれよ」



「あたしは、あかねさんじゃないの!」



「好きなんだ…あかねを愛してるんだよ」
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